商標・知財コラム:特許業務法人レガート知財事務所 所長・弁理士 峯 唯夫 先生

「観光列車」と商標

昨今、「観光列車」がおおはやり。
「観光列車」の定義はないが、「観光客を対象とした車両を用意し、観光客に移動時の楽しさ・満足を与えるサービスを提供する列車」という程度に理解してよいでしょう。
その代表格が、JR九州の「ななつ星」ですが、JR九州は観光列車の宝庫。2013年10月に登場した「ななつ星」以前に、次のようにたくさんの観光列車を走らせて、みんな営業的に成功しています。新幹線車両でさえも、他とは違います。外観は「青磁」をイメージした色彩、内装は木を多用しています。基本的には「みづほ」で走っています。

ゆふいんの森(博多-別府)1989年3月~
いさぶろう・しんぺい(熊本-吉松)1996年3月~
はやとの風(吉松-鹿児島中央)2004年3月~
SL人吉(熊本-人吉)2009年4月~
海幸山幸(宮崎-南郷)2009年10月~
指宿のたまて箱(鹿児島中央-指宿)2011年3月~
あそぼーい!(熊本-宮地)2011年6月~
A列車で行こう (熊本-三角)2011年10月~

 

これらの多くは、2~30年くらい前に製造されたディーゼルカーの改造です。それをデザイナーの水戸岡鋭治さん(お父さんは家具職人)が「木」にこだわった内装をデザインし、「ななつ星」につなげたのです。そして、「木」にこだわった内装が、地方鉄道の「観光列車」に波及しています。地方鉄道のみならず東急も、水戸岡鋭治さんのデザインで、横浜から伊豆に向かう観光列車(伊豆急車両「リゾート21」の改造)を走らせるようです。

(外装にこの列車が走る日南線沿線の杉の産地「飫肥」にちなんで「杉」を使用した「海幸山幸」。出典はJR九州HP)

さて、「観光列車」のつきものは記念グッズ、あやかりグッズです。観光列車の車内で販売されたり、お土産屋さんで販売される。当然に「商標」が絡んできます。では、登録状況はどうでしょうか。
JR九州の上掲観光列車、そして「ななつ星」、加えてJR西日本が走らせる「瑞風」とJR東日本が走らせる「四季島」についてJR各社の出願・登録状況の検索結果(InterMark シリーズサーチを利用)が以下の表です。「いさぶろう・しんぺい」「SL人吉」「海幸山幸」は登録がないようです。中には、列車の運行開始後に他人が登録しているものもあります。
なお、鉄道輸送業務は39類です。39類だけの登録では「あやかりグッズ」には対応できません。登録区分には各列車に対する鉄道会社の想いが表れているように思います。

ゆふいんの森
商標登録番号区分
308427339
ゆふいんの森451178614,16,21,25,28,29,30,32
ゆふいんの森469160343
指宿のたまて箱
商標登録番号区分
545471639
あそぼーい!
商標登録番号区分
あそBOY301395539
あそBOY45325294,16,21,28
あそぼーい!545471539
はやとの風
商標登録番号区分
482479539
A列車で行こう
商標登録番号区分
A列車で行こう545641139
ななつ星
商標登録番号区分
552830133
55620098,14,16,18,25,28,30,32
ななつ星557990739,43
ななつ星 in 九州557990939,43
558154414,30
瑞風(みずかぜ JR西日本)
商標登録番号区分
瑞風57884318,14,16,18,21,24,25,28,32,33,39,43
57884318,14,16,18,21,24,25,28,30,32,33,39,43
瑞風584475430
四季島
商標登録番号区分
四季島573359339
57557719,14,16,18,21,24,25,28,32,33,35,39,43
584052739

 

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