商標・知財コラム:首都大学東京法科大学院元教授・講師 弁理士 工藤 莞司 先生

登録商標の使用と管理
=業務上の信用の確保、拡大に向けて=

保護対象は業務上の信用 事業者に取引上重要なのは、需要者からの信用であろう。商標法は、商標に化体・蓄積された業務上の信用(グッドウィル=顧客吸引力)の保護が目的であり(商標法1条)、商標権の保護の対象は、登録商標自体ではなく、それに化体する業務上の信用で、それは、登録商標の使用により出所表示機能乃至自他識別機能を通じて、化体・蓄積する。
 このため、商標権者は独占的な権利を有し(商標法25条)、信用の蓄積を妨げ、信用を毀損するような他人の商標の使用を止めさせる権利がある。登録商標と類似関係にある商標の他人の使用は侵害として排除出来(商標法25,37条)、後願商標は登録されない(商標法4条1項11号等)。そして、商標権者以外の者には、侵害や後願に当るような商標は採択しないという効果が生ずる。

使用によりブランド化へ 業務上の信用を確保、蓄積することは、簡単ではないが、継続的な使用と品質の維持、向上により登録商標には信用が化体する。使用の結果、周知・著名商標に至ればブランド化され顧客吸引力を増し、商標権者の業務上の信用を示す財産となる。

商標の管理の重要性 商標権者は、適正な登録商標の使用を継続する一方、侵害行為に対しては、権利行使をして使用の中止等を求める(商標法36条等)。また、異議申立てや無効審判を通じて(商標法43条の2,46条)、自己の登録商標の類似範囲への他人の侵入阻止も図る必要がある。出願に対しては、審査官へ情報提供も出来る(商標法施行規則19条)。
 担当者は、全て公開されている出願・登録情報(商標法72条等)を通じてライバルの商標動向を把握し、また、営業担当者と連携し市場のライバル商品・役務の関係商標をチェックする。調査会社もある。
 登録商標を確保しただけでは、不十分で、使用は当然として、業務上の信用の確保、拡大のため、商標法上の各仕組みを積極的に活用しなければならない。

首都大学東京法科大学院元教授・講師 弁理士
工藤 莞司

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工藤 莞司 先生
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