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並行輸入品の落とし穴

◇最近は、並行輸入業者のECサイトなどで有名海外ブランド品が、通常の半額近い価格で取引されていることもある。ともするとコピー品(模倣品)ではないかと疑いたくなる価格であるが、確認するとこれが歴とした真正品なのである。

◇では、どうしてこんなに安い価格での販売が可能なのであろうか。当然、並行輸入業者なので正規代理店とは違い、販売価格の制約は無いのであるが、どうも不思議でしょうがない。聞くところによると、なんでも秘密のルートで仕入れているからであるという。

◇真正品なのに秘密ルートとは、一体どういう事なのか。全てが当てはまるわけではないがその多くは、海外ブランドメーカーと商標権のライセンス契約を結んだ業者が、商品を契約条項に含まれない製造コストの安い地域(中国など)の工場でブランドメーカーには内緒で製造し、並行輸入業者に対して格安で卸しているルートをいう。

◇当然、ライセンス契約を結んだライセンシー業者は、ブランドメーカーからすると契約違反となるのであるが、そこで製造された商品は真正品には変わりは無いのである。日本の並行輸入業者がこれらの商品を通常より安い価格で買い漁り、我が国で堂々と販売しているのである。半額に近い値段に出来る秘密は、どうもこういうところにあるらしい。

◇しかしながら、必ずしも堂々としていられない事情もある。我が国では、真正品を並行輸入する行為は商標権者の力の及ばないところとなっているが、以下の事項が満たされていない場合は、商標侵害になるという判例があるのだ。

・商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価される場合

・商標権利者が直接的または間接的に品質管理を行う事が出来る場合

◇フレッドーペリー事件をご存じであろうか。平成15年に最高裁が上記に似たケースにおいて商標権の侵害になるという判決を出しているのだ。事件の概要は少し複雑であるので興味がある方は調べていただきたいが、ようするに、商標権利者が認めておらず、監督できない(品質に責任がもてない)ルートで製造された真正品は、注意して輸入しないと商標侵害で訴えられる可能性があるということだ。

◇この事件で最高裁は、日本に並行輸入する場合、仕入先を良く調べて商標権者の権利を侵害しないようにしなければならないと述べている。

◇並行輸入を考えている業者の方はもちろん注意をしていただきたいが、我々、消費者からしてみても真正品が半額に近い価格で販売されている理由を、よく理解して購入を考える必要がありそうだ。(山本)

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